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紀貫之の『土佐日記』は、平安時代に成立した日本最古の日記文学の一つです。紀貫之は土佐国の国司としての任期を終え、京へ帰るまでの55日間の旅を日記風に綴りました。物語は、934年12月21日に土佐を出発するところから始まります。彼は女性の視点を借りて、仮名文字で日記を記述し、旅の様子や心情を細やかに描写しています。旅の途中で遭遇する自然の美しさや、船旅の困難、宿泊先での出来事などが詳細に記されています。また、旅の中で亡くなった愛娘への思いが随所に表現されており、親子の情や望郷の念が強く感じられます。1月29日に阿波の土佐泊浦に到着し、翌日には海賊が出没する鳴門海峡を渡り、本州へ向かいます。最終的に、京に到着するまでの道中での出来事や感情が綴られ、旅の終わりと共に日記も終わります。この作品は、紀貫之の人間性や文学的才能を垣間見ることができる貴重な記録です。