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『智恵子抄』は、高村光太郎が1941年に出版した詩集で、妻・智恵子との30年にわたる愛の軌跡を綴った作品です。光太郎と智恵子の出会いから、結婚生活、そして智恵子の死までの歳月が詩的に描かれています。
二人は1914年に結婚し、芸術への情熱を共有しながら生活を始めます。智恵子は画家を目指していましたが、文展での落選をきっかけに絵筆を捨て、機織りを始めます。一方、光太郎は詩作に専念し、二人で芸術の道を歩んでいきます。
しかし、智恵子の実家の倒産や、光太郎の父・光雲の死など、様々な困難が二人を襲います。特に智恵子は精神的に不安定になり、ついには自殺未遂を図ります。その後、智恵子は精神病院に入院することになりますが、そこで切り絵という新たな表現方法を見出します。
光太郎は、病気の智恵子を献身的に看護し、その姿を詩に綴り続けます。「智恵子抄」には、二人の純粋な愛、芸術への情熱、そして病との闘いが鮮やかに描かれています。「レモン哀歌」「あどけない話」「樹下の二人」など、代表的な作品が収められており、日本近代文学を代表する愛の詩集として高く評価されています。
智恵子の死後も、光太郎は妻への愛を詩に込め続けました。この作品は、二人の魂の交流を通じて、人間の愛の深さと芸術の力を伝える珠玉の詩集となっています。